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2008年05月 アーカイブ

2008年05月10日

ひやでもいいからもう一ぱい

ひやでもいいからもう一ぱい
酔ったふたりが、乱暴にかついでいきますので、樽におしこまれた願人坊主も苦しいから、うん、うんうなりながらかつがれてまいります。「この野郎、死んだくせに、『うん、うん』うなるなよ」「うん、うん、うん、うん」「うなるなってえのに…」「くるしいや」「ぜいたくいうねん。もうじき焼けばらくにならあ」「焼かれるのはいやだ」「なにをぬかしゃがんでえ。いやもくそもあるもんか」「おいおい、久六さん、よせよ、ほとけと喧嘩するなよ」「喧嘩するわけじゃねえけど、ぜいたくなことをぬかしゃがるからよ。こんちくしょうが」酔っぱらっていますから、ほとけがしゃべったのを、ふしぎだとも、こわいともおもいません。「おうおう、ついたmついた。安さん、あった、あった。まっくらなところにおっこってやがった」「こいつあ大きいな」「夜露でだいぶふくれやがった」「じゃあ、すぐに焼いてやろう。もう薪(まき)はつんであらあ」「そいつあありがてえ。うまくやってくれ」足のほうから火がかかると、もともと死んでいないんですから、願人坊主がおどろきまして…「あつい、あつい、あつ、あつ、あつ…」「やあ、はねおきやがった」「あつい、あついといったぜ」「やい、なんだって、こんなところへおれをいれやがった。一体(いってえ)ここはどこだ?」「ここは日本一の火屋(ひや)だ」「ああ、冷酒(ひや)でもいいからもう一ぱい」

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2008年05月14日

「みそっかす」

「みそっかす」
父は酒を飲んだ。一人でも飲み客とも飲んだ。酔えば荒れて人にからむのが癖であった。私たちにもしつこかった。機嫌よく酔っているときは話を聞かせてくれるにしても、浮きたつようなおもしろさであった。そのおもしろさが遂におわりまで続いたことがなかった。ひきこまれて夢中になっているうちに泣かなくては納まらないような羽目にさせられてしまう。だから用心するような怖じた心になって、子供ながらおもしろがりつつも逃げ腰ある。いくらどうしたってだめである。終生父に酒はつきものであったが、考えれば私も飲む父の姿をどのくらい見てきたことか。一生を通じてこの頃が一番荒れた酒の時代である。子供だったからもあるが、私の父に対する恐怖は染みついている。それもその場限りの、からっとした、一気に来るものではなく、逃げても追いつめられ、最後にがんとやられてしまう。いわば道中の長い、殺気だった恐怖であった。父とななが一番凄く摩擦しあった時代のせいでもあろう。ははは私の記憶では、かつて快く酒の給仕をしたことがない。しかめっ面と軽侮の色を遠慮なく見せている。(「みそっかす」 幸田文) 幸田露伴が再婚した頃のことだそうです。


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2008年05月17日

山廃香

山廃香
清酒にはその造り方によって色々な香りがあります。その一つに山廃香があります。山廃とは、「山卸し(物量を櫂-かい-ですりつぶす作業)」という作業を「廃止」した酒母の造り方なのですが、出来上がった清酒には焦げた?ような独特な香りがあります。これの全くない清酒が山廃といって売られていると何となくがっかりします。その一方、略式でこの香りを出す「山廃」もあるようです。ただ、そういう私自身、先日も「生もと酒」を飲んで雑味(香)を感じ、精米歩合が低いのかなと思ったこともあり、こうした香りをどのように考えるかということはむずかしいものように思われます。

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2008年05月29日

醸造試験所の受賞

醸造試験所の受賞
国税庁の醸造試験所(現在は東広島市にある独立法人酒類総合研究所)で醸造された吟醸酒が、同所主催の全国鑑評会で最近11年間(昭和62年の文)に9回「金賞」に入賞しているそうです。ここの先生達が全国の酒蔵の醸造指導をしているのですから当然ともいえるのでしょうが、科学の理屈にそって醸造した酒が入賞するということは興味深くありませんか。その審査は公平を期して行われますので、もちろん審査委員にはどれが醸造試験所の酒かは分かりません。明治40年に始まった鑑評会において、明治45年の新酒鑑評会でも、醸造試験所の酒銘「飛鳥山」がすでに一位に入賞しているそうです。

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2008年05月31日

コウジブタ(麹蓋)

コウジブタ(麹蓋)
初日は「床(とこ)」という台の上で、保温布に覆われた中、麹菌は酒米に繁殖してゆきます。翌日は、約1升はいる「コウジブタ」という杉材でできた、深さ 6-7cmの蓋なしの箱に盛り込み、1日かけて麹菌をさらに増殖させます。このとき、室内の温度が上下で違うため、「仕事」という麹を撹拌する作業のたびに、コウジブタを何回も積み替えます。このコウジブタは鉄の釘を使いません。最近は、もっと大きな箱や、手作業を必要としない機械造りになりつつあります。このコウジブタは、懐石料理のお盆になったりしています。

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